岩川アトリエの引き押し手金物 of 岩川アトリエ一級建築士事務所

岩川アトリエの引き押し手金物

「それいゆ」タイプ01


岩川アトリエでは事務所開設以来、鍛鉄作家・アトリエ空の柴崎さんと協働でスチールワークをしています。その中のひとつにドアの引き手金物があります。第一号は「珈琲屋それいゆ」の金物です。お店の看板である水出しコーヒーの器具をイメージし、スチール角棒の一筆書きとしています。ビス留めを表には見せないが取り付けやすいように配慮すること、そしてこのお店だけに特化せず、一般の住宅にも汎用できることもデザインコンセプトとしています。

アトリエ空

引き手金物1-1
引き手金物1-2
珈琲屋 それいゆ

「それいゆ」タイプ02

タイプ01では斜めに振ったデザインとしたため軸にズレが生まれました。そのため開き戸や引き戸の用途にも気にせずに使用できるよう汎用性を持たせるために、軸を揃えシンプルな垂直平行なデザインにしたのがタイプ02です。2007年の「南荻窪の家」で初めて採用しました。

握った感触が少し細くなったことで逆にゴツゴツ感を感じるようになったこと、直線的になったことで鉄の重厚さが少し弱い印象になったことが、次への課題として残りました。

引き手金物2-1.jpg

南荻窪の家

「それいゆ」タイプ03


タイプ02の握ったときの感触をもう少しやわらかくし、鉄の重厚感(素材感)ももう少し出したかったので、中央の握る部分を少しふくらませるデザインとしています。角棒を一筆書きでデザインした金物「それいゆ」は、形も機能性もこのタイプ03で完成されたものとなりました。2011年の「池袋本町の家」で初めて採用しました。

仕上げは、その用途により、漆の焼付け(室内のみ)、エナメル塗装、酸化皮膜+蜜蝋などを使い分けて使用しています。


引き手金物3-1.jpg

池袋本町の家

「タイプ04」


アトリエ空の柴崎さんとの打ち合わせの中、溶接を行わず、もう少し鍛鉄らしさを追及したいということで1本のフラットバーから叩いて形成するデザインにしたのがこの「タイプ04」です。握った時の感触、開き戸で使う時の使用感、そして引き戸で使う時の使用感を兼ね備えたデザインとなっています。2014年の「上用賀の家」で初めて採用しました。

引き手金物4-1.jpg

引き手金物4-2-.jpg

上用賀の家

Bau

お施主さんからいただいたロゴマークをモチーフにデザインした引き手押し手金物です。 スチールプレートを溶断し、鉄の素材感をそのまま残すため、表面を荒らした上で酸化皮膜をつくりその上に蜜蝋を掛ける仕上げとしています。2006年の「下諏訪の家」の理髪店「Bau」で採用しました。

引き手金物5-1.jpg

下諏訪の家 ( 理髪店 Bau )